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令和わらしべ長者 連載企画「令和わらしべ長者」

第3回 日本僑報社 社長 段景子氏 (中編)

中国人社長インタビュー第3弾!日本での出版社経営について伺いました

こんにちは、ふえるワ!編集部員、謝です!
連載企画「にっぽんで暮らす中国人社長」は、中国出身の新入社員、わたくし謝が、日本で活躍されている中国人社長にインタビューし、日本での生活や成功の秘訣を学ばせていただく企画です!

第3回目は株式会社日本僑報社社長 段景子(だん・けいこ)氏にお話を伺いました。同社が企画する中国人の日本語作文コンクールはふえるワでも紹介しています。
中国で日本語を学ぶ友人に教えてね! 最優秀賞は日本に招待される作文コンクール
今年人気のテーマは何?第17回「中国人の日本語作文コンクール」入賞者を発表!

段社長は、1989年に北京から来日。日本で博士号(社会福祉学)取得後、大学教員などを経て、2004年より日本僑報社代表取締役社長を務められています。日本での生活や出版社経営についてなど、オンライン対談形式でお話を伺いました。
前編では、出版社設立の経緯や、中国人と日本人の文化の違いについて、お聞きしました。中編では出版されている本の内容などについて伺います。

中日両国で、様々な本を出版

御社では、設立当時どのような本を出版されていたのですか?
当社が最初に出版した本は「在日中国人大全」です。中国に対するマイナスイメージを払拭しようと私の夫が企画しました。夫は当時、日本で大学教授をしたり、起業したりなど、各分野で活躍している中国人も多数いることを知っており、彼らを紹介したいと考えたのです。最終的に中国人、企業、団体など約1万人、5万件のデータを集めて、この本を出版しました。出版当時、朝日新聞、読売新聞、日経新聞、NHKなどで報道され、日本社会に大きな影響を与えました。中国人はこんなに努力しているとは知らなかった、と驚く人が多く、私たち中国人全体の良いイメージを世間に見せることができました。
次に出版した本が、優秀な在日中国人たちの自叙伝「负笈东瀛写春秋:在日中国人自述」です。当時の彼らはほとんどがまだ学生でしたが、今はそれぞれ日本で活躍し、とても有名になっています。2005年に出版したのが、「創業物語-在日中国人自述」で、30人ほどの中国人、華人(日本国籍を取得した中国人)と一緒に書いたものです。現在も、最近の華人についての本を出版する企画中です。

日本僑報社のオンライン書店のスクリーンショット

日本僑報社のオンライン書店のスクリーンショット

日本人の中国体験記で生の声を伝える

最近では、どのような中日理解につながる本を出版していますか?
例えば「忘れられない中国滞在エピソード」という本。これは、日本人が中国へ留学や旅行した体験を書いた本です。数年前のある調査によると、90%近くの日本人は中国に好感を持っていないそうで、これは由々しき問題です。でも実は多くの日本人が中国に行ったことがなく、本当の中国を知りません。そこで実際に行った人に自分の体験を書いてもらい、広く皆さんに知ってもらう企画を考えました。中国に行く機会がなくても、この本を読めば、本当の中国の一端が分かります。実際にこの本に感化されて中国に留学した人もいるんですよ。「忘れられない中国滞在エピソード」は一連の本で、現在は4冊出版されています。毎年11月に出版されます。

逆に中国の日本に対する偏見はどのように解消できるでしょうか?
これも総合的に理解する必要があるでしょう。当社では、中国の大学生向けに日本語作文コンクールを開催しています。この作文コンクールは毎年テーマが変わり、去年のテーマは中日が手を携えて共に新型コロナウイルスに対抗することでした。作文コンクールに参加する学生の皆さんは、日本の文化についてかなり理解しています。インターネットの発展もあり、最初の2004年ごろの作文と比べると、中国人の日本の文化・社会に対しての理解が、ますます進んでいると感じます。これらの中国の学生たちの書いた文章を読んで、私も良い刺激をもらっています。中日交流と相互理解を促進するという目標には、明るい光が見えています。
中国の若者も情報収集に使っているインターネットは、大量の情報がすぐに手に入りますが、重要なのは情報の正確さです。当社の作文コンクールは20年間の生の声が詰まった、貴重な歴史的資料と言えます。

中国人初の女性ノーベル賞受賞者の伝記をいち早く翻訳して出版

中国人を日本に紹介する本もあるそうですね。
屠 呦呦(と・ゆうゆう)氏を紹介する本を出版しました。彼女は、中国大陸で初めてノーベル生理学・医学賞を受賞した人です。受賞後、すぐに屠氏の伝記を日本語に訳して日本で出版しました。「屠呦呦―中国人初の女性ノーベル賞受賞科学者」といいます。実は、医学賞を同時に受賞した大村智氏の中国語の本も、私たちが窓口となり、中国の人民出版社で出版されました。これは中日にお互いの理解があったということです。ちなみに屠呦呦氏は、抗マラリア薬であるアルテミシニン(青蒿素)とジヒドロアルテミシニンの発見者で、漢方医でもあります。
中日の歴史に関する本も出版しています。「新中国に貢献した日本人たち」という本は、中国解放戦争に参加し、新中国建国後も残って中国人民の社会主義革命と建設を助けた日本人の実績を書いています。これらは中日友好関係の原点とも言えます。こういった本を作るための情報を集めるのは本当に大変ですが、重要な意味がある仕事だと思って責任を持って取り組んでいます。

ほかにはどのような本を出版されていますか?
以前、北京である国際会議が開催されることになりました。この会議に備え、日本の政治家も一帯一路(シルクロード経済圏構想)について勉強し、理解する必要がありましたが、当時日本にはそれに関する本がありませんでした。私たちは急いで「一帯一路 詳説」を翻訳して出版しました。日本語版の本が出版されれば、日本人も正確な理解ができるようになります。日本の研究者、政治家、記者に向けて、当社は正確な、出所のしっかりした情報を提供するよう努めています。そういう意味では、当社はシンクタンクに似ています。中国の正確な情報を日本に伝え、インターネットで調べられる情報を補充、追加する情報を提供します。

正確で分かりやすい翻訳を重視し、翻訳学院を創立

確かに、情報は正確さが重要です。
中日間の翻訳も重要な要素と考え、当社は翻訳学院を持っています。ハイエンドの人材を専門に養成しています。翻訳学院に入る学生は、元々大手の記者や教師で、90%以上が日本人です。学生がとてもまじめで、私も感動しました。
翻訳の正確さ、権威性はとても重要です。当社の翻訳の指標は大きく3点あり、「分かりやすく、正しく、美しく」。非常に難しいことですが、正しい情報を相互に伝えることで、両国の相互理解を促進することができます。中国語を日本語に訳しても、その逆でも、結局は中国と日本のために貢献していると感じます。私たちの使命とも言えるかも知れません。
現在、翻訳者の体験についてまとめた、「日中中日翻訳必携」という6冊目の本を準備しています。このシリーズ本は毎年出版していて、今回は翻訳学院の先生たちにも、翻訳中の感触、感想を書いてもらいました。この本は私が主に執筆しています。

日本僑報社が運営する日中翻訳学院のホームページ

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後編では、段社長にコミュニケーションのコツや出版にかける想いを伺います。

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