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世界で日本だけだった?アダルト雑誌が並ぶコンビニ風景

皆さん、日本のコンビニエンスストアから“あれ”が消えたことをご存知でしょうか。もったいぶらずにお伝えすると、日本のコンビニの書籍コーナーにあったアダルト誌(いわゆるエロ本)が姿を消したことです。

コンビニからのアダルト誌排除は、2019年8月末にセブン-イレブン、ファミリーマート、ローソンのコンビニ大手3社が決定したものです。その決定を受けて19年春にアダルト誌と呼ばれる成人向け雑誌の多くが休刊しています。それだけコンビニでの売上が多かったことを意味していました。

「今でもアダルト誌はあるよ」と思う人もいると思いますが、現在置かれている雑誌は、種類上、情報誌扱いになっているものです(余談ですが、雑誌の種類は掲載広告などによって決まるそうです)。

雑誌の山

日本では長年、当たり前の光景になっていた刺激的な表紙丸見えのアダルト誌が並ぶ日常は、外国人からは奇異な目で見られていたようです。なぜなら、日本以外の多くの国では、子供が出入りするコンビニなどに成人向け雑誌を置かないからです。

日本国内でも以前から子供への悪影響で問題になっていました。表紙を隠すとか、年齢確認をするとかアイディアはあったようですが、いずれもコンビニ側の負担になることから進まなかったようです。

21世紀に入り、多くの情報がインターネットで収集される時代になると、10代や20代の若年層は、アダルト誌を購入しなくなり、日本の高齢化とともにアダルト誌の読者層も高齢化していきました。

その結果、2000年に入る頃までは、アダルト誌購入者のコンビニでの購入単価は1000円超と高く、コンビニ経営には重要な商品とされてきました。しかし、最近では、アダルト誌の売上比率は大きく下がり、購入単価も下がったため、コンビニ経営への影響は限定的と判断されたことで全面排除となったようです。まあ、これも時代の流れですね。

年齢確認

たとえば、中国の例ですが、中国には、成人向け雑誌自体が存在しません。裏でこっそり海賊版アダルトDVDが流通しているくらいです。インターネットのアダルトサイトは、「できては規制される」を繰り返しているため、表面的には、日本のようにアダルトサイトの垂れ流しということはありません。

現在、日本はインターネット上に違法アップロードされたアダルト動画があふれています。世界的に見ると、ほぼ規制されていない野放し状態で、子供も目にできてしまう状況が続いています。

皮肉なことに、日本国内からは「中国のアダルトサイト規制を見習ったほうが良い」との声が聞かれたりもしています。親の立場からすれば、日本のインターネット環境は、教育上あまり良くないと考えるのは当然かもしれませんね。

(我妻伊都/5時から作家塾®)

FueruWHA!レポーター/プロフィール

我妻 伊都(わがつま いと)
編集者・フリーライター。SARSが流行しているとき中国へ初出張。2005年から拠点を中国へ移し十数年過ごす。現在は東京拠点に活動。中国では出張者、駐在員、現地採用、留学生、フリーランス、NPO理事などを経験。11年に雑誌編集者、12年に月刊誌でプロライターデビュー。『ニューズウィーク日本版』『日本と中国』『週刊SPA!』『ハーバー・ビジネス・オンライン』等へ執筆。機関紙や専門誌の編集にも携わる。
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