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レトロラジカセをヤフオク!で落札して楽しむ

日本のレトロラジカセが中国で人気

今、日本通の中国人の間で日本製の中古ラジオカセットレコーダー(ラジカセ)が人気になっています。しかも、30年、40年前のラジオとカセットテープだけのレトロなラジカセを夢中で収集しています。

人気ラジカセメーカーは、シャープと三洋電機(サンヨー)という声が多く、特にサンヨーは中国で長年ブランド力があった影響か多くの中国人の好印象なブランドだと言われます。

レトロなラジカセに夢中になるのは、カセットテープを再生する機械への憧れが関係しているようです。日本で最新の音楽がカセットテープやレコードで発売されて個人で楽しむようになった1970、80年代、中国ではまだ庶民が音楽を楽しむという時代ではなかったのです。

中国ではカセットテープを再生するラジカセは高級品で、一般家庭へは普及せず、大学など教育機関への普及に留まったとされます。

レトロな大型ラジカセが人気の理由

中国の一般家庭で音楽を楽しむようになったのは、80年代後半くらいからで、90年代になり初めて大衆へ普及した音楽媒体は、カセットテープではなく、CDだったのです。

そのため、日本での音楽・映像媒体の歴史は、レコード、カセットテープ、VHS、CD、レーザーディズク、MD、DVD…と進化してきたのですが、中国では、数段ほど進化を飛ばしていきなりCDから始まったのです。また、中国は、日本ではほぼ全家庭へ普及したVHSのビデオデッキもほとんど普及しませんでした。その代わりが、逆に日本では一般化しなかったVCD(ビデオCD)だったのでしょう。

現在、中国では音楽ではなく語学学習向けとしてカセットテープや再生機が売られていて買うことはできます。しかし、いずれも卓上に置ける小型タイプで、左右に大きなスピーカーを備えたゴツゴツした大型ラジカセは中古品も含めてあまり売られていません。

ヤフオク!で落札してもらいホテルで受け取り

中国人の知人に代わって、ヤフオク!で入札した中古ラジカセ(最終的に20万円近くとなり諦めた)

中国人の知人に代わって、ヤフオク!で入札した中古ラジカセ(最終的に20万円近くとなり諦めた)

中国・大連のラジカセコレクターである林さんは、日本へ出張する日程が決まったら、日本に住む知り合いへ「このラジカセを予算10万円で落札してほしい」とヤフオク!で出品中の商品ページを伝えて落札してもらい、滞在先のホテルで受け取ってハンドキャリーで持ち帰っていました。

さすがに40年前のラジカセになると、半ジャンク(故障あり)だったりするのですが、林さんは、「日本のヤフオク!などの出品者は、商品状態の申告に嘘偽りがなく、良い状態のラジカセが多くて素晴らしいですよ」と語り、大抵の故障は、持ち帰った後に中国で修理できるそうです。

林さんが「いい音でしょ!」とWeChat(ウィーチャット)で著者へ送ってくれた修理を終えたラジカセの映像からは、中国で長らく聞くことが禁止されていたテレサ・テンの歌声が流れています。その歌声は東京出張で買ったというテレサ・テンが日本語で歌う楽曲のカセットテープでした。

(我妻伊都/5時から作家塾®)

FueruWHA!レポーター/プロフィール

我妻 伊都(わがつま いと)
編集者・フリーライター。SARSが流行しているとき中国へ初出張。2005年から拠点を中国へ移し十数年過ごす。現在は東京拠点に活動。中国では出張者、駐在員、現地採用、留学生、フリーランス、NPO理事などを経験。11年に雑誌編集者、12年に月刊誌でプロライターデビュー。『ニューズウィーク日本版』『日本と中国』『週刊SPA!』『ハーバー・ビジネス・オンライン』等へ執筆。機関紙や専門誌の編集にも携わる。
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