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ふえるワ!の気になる話!中国人女性が四国八十八か所巡りにハマったその理由は?

FueruWHA!レポーター/我妻 伊都

日本人にとっては当たり前すぎて気づかない意外な点に魅力を感じている中国人女性がいます。劉さんは中国・大連でカフェレストランを経営しています。日本語はとっても流暢ですが、驚くことに日本への留学経験も長期生活したこともありません。

そんな劉さんが魅了されたものは、四国八十八か所巡りです。空海(弘法大師)という僧侶が遍歴した場所を霊場として訪れるものです。巡る人を「お遍路さん」と呼びます。

札所で祈るお遍路さん

札所で祈るお遍路さん

弘法大師は、平安初期(8世紀)の人で、中国へ留学して真言密教を日本へもたらし、真言宗を開いています。初詣で有名な成田山新勝寺(千葉県)なども真言宗のお寺になります。

劉さんも当初は、東京や大阪といった都市での観光を楽しんでいましたが、友人から四国八十八か所巡りの話を聞いて興味を覚え、数か所だけ見てみようと行ってみたところハマってしまったそうです。

四国八十八か所巡りは、最後に真言宗の総本山の高野山(和歌山県)を訪れて朱印と墨書をもらって終了となります。八十八か所を訪れると歩く距離は1400キロメートルを超え、連続で巡っても40日ほどかかるとされます。
劉さんは数か月に1回休みをとって1週間ほど巡り、3年ほどかけてコツコツと訪れて達成したそうです。

「私はそれまで(中国での)地方にいいイメージがなかったのですが、四国の豊かな自然と、何よりも迎えてくれる地元の人たちと会えるのが楽しくなりました。わからないことがあれば、助けてくれます」(劉さん)

お遍路の旅の中でも劉さんが一番驚いたのは、道端にある野菜や果物の無人販売所だったと言います。無人販売所が成立していることに、もっとも衝撃を受けたそうです。

旬の野菜や果物を販売する無人販売所

旬の野菜や果物を販売する無人販売所

四国八十八か所巡りを終えた劉さんは、その後、別の地方の霊場巡りを楽しんでいます。新型コロナウイルスが収束したら、また再開させたいと話しています。

ちなみに劉さんは、特定の宗教を信仰しているわけではありません(現在も)。簡単なルールを守って、自分の商売繁盛や家族や友人の幸せや健康を祈願すればいいわけです。そんな誰でも気軽に参加できて、東京や大阪などの観光とはまったく違う体験ができるのが、お遍路の素晴らしいところだと話しています。
四国八十八か所巡りを楽しむ外国人の動画はユーチューブにたくさんアップされています。

もっと気軽にお遍路をしてみたいという人は、お遍路専門の旅行会社(お遍路旅行専門店 旅ネット四国)などが、短時間で楽しめるツアーなどを実施しています。覗いてみてはどうでしょうか。

<FueruWHA!レポーター●プロフィール> 
我妻 伊都(わがつま いと)
編集者・フリーライター。SARSが流行しているとき中国へ初出張。2005年から拠点を中国へ移し十数年過ごす。現在は東京拠点に活動。中国では出張者、駐在員、現地採用、留学生、フリーランス、NPO理事などを経験。11年に雑誌編集者、12年に月刊誌でプロライターデビュー。『ニューズウィーク日本版』『日本と中国』『週刊SPA!』『ハーバー・ビジネス・オンライン』等へ執筆。機関紙や専門誌の編集にも携わる。
Twitter:@ito_wagatsuma

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