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日本は公共交通機関や新幹線が高い

観光やビジネスで訪日する外国人から「日本は電車やバスなどの公共交通機関が高い」という話を耳にします。

日本に住む人間からすれば、地下鉄やバスは、庶民の足として安価に効率よく移動することができる交通手段ですので、運賃が高いという不満の声はそれほど多くは聞こえてきません。

確かに日本の周辺の韓国や中国、フィリピン、タイ、マレーシアなど、さらに先進国と言われる欧米と比較しても日本の地下鉄やバスは割高かもしれません。

日本の電車やバスは初乗り運賃で乗れるのは多くて2、3駅くらいで、遠くなればなるほど運賃が高くなります(区間制運賃)。実際、多くの国が日本と同じように区間制運賃を採用しています。

駅の改札

ところが、中国の場合は、市内バスは一律であることが多く、運賃は1、2元(約17、34円)。406路や901路など路線ごとに価格が設定されていて、1駅でも終点まで乗っても同一運賃となっている都市がほとんどです。例外的に少し遠い区や近郊都市を結ぶような特別なバスだと5元(約85円)などもありますが、1時間くらい揺られて100円を切るのですから非常に安く設定されています。

これは中国が国家としてバスや地下鉄などの公共インフラを安く維持する政策を実施しているからです。ですので、ビールはドンドン値上がりしても市内バスの運賃はほとんど上がりません。例外的にエアコン付きの新型バスが導入されて1元から2元に値上げなどはあるようですが。

公共交通機関

同じように国が運賃を低く設定しているのが、今や中国全土へ拡張した新幹線(高速鉄道)です。中国では略して高鉄と呼んだりしますが、高鉄の運賃と比較して「日本の新幹線は高い」とよく中国人出張者が嘆いています。

「日本の新幹線は時間に正確で、本数も多く乗り心地も良いのですが、高いですね。飛行機のほうが安いことが多いのが驚いています」(上海の経営者洪さん)

洪さんがいる上海駅から北京南駅まで高速鉄道を利用すると、約1200キロ・メートルを6時間ほどで結び、運賃は一番安い2等席で1万円を切ります。同じくらいの距離である東京駅から熊本駅まで約1300キロ・メートル、6時間で運賃は約2万6000円となります(ともに9月14日、午前9時発で検索した結果)。

上海-北京間を1万円の運賃で乗車できる高速鉄道

上海-北京間を1万円の運賃で乗車できる高速鉄道

新幹線の運賃は、日本人である著者から見ても高いと感じます。実際、東京から福岡や仙台へ出張するときには、LCC(格安航空会社)や深夜バスを利用することが多く、新幹線は自己負担であれば、ほとんど乗る機会はありません(割高だから)。

新幹線は元々出張利用者を想定して構築されているため、旅行者や外国人には優しくない印象があります。

JR東日本が運営するオンライン「えきねっと」を利用すれば、最大半額でお得に利用できたりしますが、外国人には、えきねっとの登録自体が大きなハードルとなり、お世辞にも利用しやすいとは言い難いのではないでしょうか。

最近、日本は新幹線を世界へアピールしてインフラとして輸出しようと力を入れていますが、訪日する外国人がもっとシンプルなシステムで気軽に割引サービスも利用できれば、帰国した彼らが口コミで新幹線の魅力をもっと広めてくれるのではないでしょうか。

(我妻伊都/5時から作家塾®)

FueruWHA!レポーター/プロフィール

我妻 伊都(わがつま いと)
編集者・フリーライター。SARSが流行しているとき中国へ初出張。2005年から拠点を中国へ移し十数年過ごす。現在は東京拠点に活動。中国では出張者、駐在員、現地採用、留学生、フリーランス、NPO理事などを経験。11年に雑誌編集者、12年に月刊誌でプロライターデビュー。『ニューズウィーク日本版』『日本と中国』『週刊SPA!』『ハーバー・ビジネス・オンライン』等へ執筆。機関紙や専門誌の編集にも携わる。
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