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2022.01.15
中国人が日本人の友達は冷たいと感じる理由
「日本人の友達は冷たい…」という話を来日したばかりの中国人から耳にします。理由を聞くと、「友人同士で手をつながない」「距離感を感じる」などを挙げています。
中国の多くの街を見ると、女性同士が手をつないで歩いている光景をよく見かけます。友人同士ではありませんが、中国では、中高生など年頃の女性と父親が腕を組んで歩くのもごく自然な光景だったりします。後者は、日本ではまず見かけないのではないでしょうか。日本だと親子とは見られず「怪しい関係?」と疑われてしまうのかもしれません…。
その感覚で日本の友人関係を見ると、「日本人は他人行儀で冷たい」と感じてしまうのかもしれません。
日本も東京と大阪などとでは多少の地域差はありますが、日本人は、内と外を中国人よりも明確に分けているように思います。たとえば、多くの日本人女性は部屋着のまま外出はしませんし、家(マンションの部屋)から出たら外と認識します。外は他人や社会の目を気にする人が多いため、付き合いたてのカップルなどを除き、外でベタベタする人は少ないのではないでしょうか。
他にもよく中国人から聞く話としては、日本人の友達の家に遊びに行って許可なく冷蔵庫を開けたら怒られたという話です。中国人の感覚では、友達であれば冷蔵庫を勝手に開けるのは自然なことで、それが友人関係だと認識しています。
日本だといくら親しい友達であっても他人の家の冷蔵庫を勝手に開けると「変な人扱い」されます。もし冷蔵庫を開けるなら、前もって一言声をかける人が多いのではないでしょうか。
日本人は、たとえ親しい間柄であっても一定の距離感、礼儀を持って付き合っていく、「親しき仲にも礼儀あり」を前提とした人間関係なので、その点が少し中国人とは異なっていると言えます。
では、日本人が中国人と比べて冷たいのかと言えば、一概には言えないと思っています。日本人の接近しすぎない友人関係のほうが、細く長く友人関係が続くこともあるからです。
中国と日本とで、これも他人との距離感に関係していると思われるのが、話す時の距離の違いがあります。中国に長く滞在した日本人が一時帰国した際などに指摘される中国あるあるの1つとして、話す距離が近いことがあります。
対人距離、これ以上近づくと不快に感じるという距離をパーソナルスペースと呼びます。このパーソナルスペースの認識が中国人と日本人では違います。パーソナルスペースは、密接距離(家族・恋人)、個体距離(友人)、社会距離(仕事先の人・知り合い)、公共距離(他人)の順番に、接する時の距離が離れていきます。
コロナ禍でソーシャルディスタンスなんて言葉も使われるようになりましたが、ソーシャルディスタンスは、最後の公共距離に該当するものです。
現代の中国では、日本での社会距離の対象の人が、個体距離や密接距離の人くらい近いことが多く、中国で活動する日本人もいつの間にか影響され、知り合いにもかなり接近して話すなんてことが日常化しています。
日本人は一般的な中国人よりもパーソナルスペースを長めに確保することで、人間関係を円滑にしようとする社会となっています。誤解がないように補足しておくと、これらはどちらが正しいとか間違っているというものではありません。
ぜひあなたの普段のパーソナルスペースを思い出してみて、参考にしてみてはどうでしょうか。より日本人の友人関係が理解できると思います。
(我妻伊都/5時から作家塾®)
FueruWHA!レポーター/プロフィール
我妻 伊都(わがつま いと)
編集者・フリーライター。SARSが流行しているとき中国へ初出張。2005年から拠点を中国へ移し十数年過ごす。現在は東京拠点に活動。中国では出張者、駐在員、現地採用、留学生、フリーランス、NPO理事などを経験。11年に雑誌編集者、12年に月刊誌でプロライターデビュー。『ニューズウィーク日本版』『日本と中国』『週刊SPA!』『ハーバー・ビジネス・オンライン』等へ執筆。機関紙や専門誌の編集にも携わる。
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