もし、「少し遅れます」と待ち合わせ相手から電話で言われたら、その人はどのくらい遅れてくると思いますか。
3分から5分くらいをイメージする人が多いかもしれませんが、10分、もしかしたら30分くらいと考える人もいるかもしれません。他にも「少々お待ちください」「ちょっとだけ良いですか?」など、日本語には曖昧な表現が日常的に使われます。
時間の感覚は千差万別なので、日本人同士でも誤解が生じ、人間関係にひびが入ったり、トラブルの元になったりという経験はないでしょうか。
日本語で曖昧な表現が使われるのは、「5分遅れます」など具体的に言うと刺々しくなるから、オブラートに包むように曖昧に言うことで、相手に不快な思いをさせないためという配慮があると考えられます。
ところが、この曖昧な表現は日本人同士でもトラブルになることがあるくらいなので、外国人にはよりわかりづらく困るそうです。
相手が外国人であれば、曖昧な表現を使わずに具体的に伝えることを意識するといいのかもしれません。
電話対応をするコールセンターなどでは、お客さんはただでさえトラブルや問題があって電話しているので、ちょっとした対応にイライラを募らせてクレームへ発展させてしまうことがしばしばです。
そこで、コールセンターによっては、お客さんへ曖昧な表現を使わないようにトレーニングをしているセンターもあります。
たとえば、何かを調べるため電話を保留にする必要があるときに「少々保留にさせていただきます」ではなく、「3分ほど保留にさせていただきます」と具体的な時間で伝えるように指導しています。
ここでポイントは、3分と伝えて、実際は2分で戻ってくることです。お客さんは3分待つと認識していたのが短くなると心証が良くなり、より協力的になって円滑に進めることができる効果も生まれます。逆に、3分と伝えて、5分待たせて戻ると、心証を悪化させてクレームになるので注意が必要です。
人間の脳は自分で都合よく解釈する癖があるので、自分の認識と違っている現実が起こると、不満を感じるものです。もし、3分と伝えて、さらに3分かかりそうであれば、3分過ぎる前に、「申し訳ございません。さらに3分ほどお待ちください」と伝えておけば、お客さんのイライラを最小限にすることができます。
このトレーニングは、外国人の同僚がいる職場や外国人の友人がいる人は応用ができると思います。
「後で折り返します」ではなく、「10分ほどで折り返します」と具体的に伝えることで、外国人との日本語でのコミュニケーションがより円滑になるのではないでしょうか。
また、外国人であれば、日本語は外国語なので、曖昧な表現でよくわからなければ、「何分くらいですか?」と具体的に相手に尋ねても、失礼には当たらないと思います。ぜひ積極的に聞いてみることをお勧めします。
(我妻伊都/5時から作家塾®)
FueruWHA!レポーター/プロフィール
我妻 伊都(わがつま いと)
編集者・フリーライター。SARSが流行しているとき中国へ初出張。2005年から拠点を中国へ移し十数年過ごす。現在は東京拠点に活動。中国では出張者、駐在員、現地採用、留学生、フリーランス、NPO理事などを経験。11年に雑誌編集者、12年に月刊誌でプロライターデビュー。『ニューズウィーク日本版』『日本と中国』『週刊SPA!』『ハーバー・ビジネス・オンライン』等へ執筆。機関紙や専門誌の編集にも携わる。
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