初めての日本のトイレで焦ったと話す中国人は多いようです。何に焦ったのかと聞くと、日本のトイレには、トイレットペーパーを捨てるごみ箱がないことに戸惑ったというものです。
日本のトイレは、トイレットペーパーをそのまま流すのが当たり前です。しかし、中国では新しいマンションやホテルなど一部を除き、トイレットペーパーは流さず便器横の備え付けのごみ箱に捨てるのが当たり前となっているからです。
日本でも以前はごみ箱、今でも女性用トイレだと小さなごみ箱があるかもしれませんが、1995年の地下鉄サリン事件や火災防止などの観点からごみ箱自体が撤去されているトイレが多くなっているようです。
日本人が日本の感覚のまま中国でトイレを利用すると、高確率でトイレが詰まることになります。トイレットペーパーが流せるような新しいホテルなどのトイレであっても、“小分け”にしながら流すなど意識しないと、詰まらせて迷惑をかけたという経験をした日本人も多いのではないでしょうか。
もちろん、日本でも大量にトイレットペーパーを流せば詰まることはありますが、よく中国人からは、日本のトイレットペーパーはよく溶けるという話も聞きます。同時に、日本は他の物価と比べてトイレットペーパーが安くて驚いたという声も耳にします。
中国では地域差はありますが、トイレットペーパー価格は日本のおおよそ2倍くらいというイメージです(物価感覚だと4、5倍でしょうか)。安いものも売っていますが、流す前提ではないため、安いものほど溶けづらく、少量で詰まらせることになります。
中国で外国人も宿泊できる3星ホテルのトイレ
初めての日本のトイレで焦るのは、ごみ箱がないだけではありません。日本では北海道から沖縄の隅々まで温水洗浄便座が普及している温水洗浄便座大国なのですが、初めての温水洗浄便座で、洗浄の止め方がわからずにずっと座っていた……なんて話も聞いたことがあります。
余談ですが、ウォシュレットはトートー(TOTO)、シャワートイレはイナックス(INAX)のそれぞれ製品名となります。普段の日常会話では、ウォシュレットと呼ぶことが多いと思いますが、ウォシュレットはTOTOの商品名となります。
他にも最初、知らずに困ったと聞く話では、「便器を使用する時の向き」があります。中国も新しいトイレは洋式便器で全体的には洋式が多くなっています。しかし、昔ながらの日本の和式スタイルのような、座って用を足すタイプの便器も大型ショッピングモールや駅、空港などで見かけることがあります。
何で困るかと言えば、中国と日本では和式便器に座る向きが逆だからです。日本は顔をドアと反対側を向けて座ります(お尻がドア側)。中国は逆で顔がドア側となります。
日本では、当然ながらそれに合わせてトイレットペーパーが備え付けられています。中国と同じ向きで日本の和式便器へ座るとトイレットペーパーへ手が届かない、うーん、困ったとなってしまうわけです。
ちなみに世界的には、日本のようにトイレットペーパーが流せる国のほうが少数派で、多く国が中国と同様に備え付けのごみ箱へ捨てるか、流せても少量だったりします。
中国人にとって、初めての日本のトイレは驚きと緊張の連続なのかもしれません。
(我妻伊都/5時から作家塾®)
FueruWHA!レポーター/プロフィール
我妻 伊都(わがつま いと)
編集者・フリーライター。SARSが流行しているとき中国へ初出張。2005年から拠点を中国へ移し十数年過ごす。現在は東京拠点に活動。中国では出張者、駐在員、現地採用、留学生、フリーランス、NPO理事などを経験。11年に雑誌編集者、12年に月刊誌でプロライターデビュー。『ニューズウィーク日本版』『日本と中国』『週刊SPA!』『ハーバー・ビジネス・オンライン』等へ執筆。機関紙や専門誌の編集にも携わる。
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