TIPS FOR FOREIGNERS LIVING IN JAPAN外国人向けお役立ち日本情報

気になる日本の就労環境

これから日本で働きたいと考えている人にとって気になるのは、日本での就労環境ですよね。今回は、日本で働きたい人に参考になりそうな調査をご紹介します。
今回、日本での就労経験のある方を対象に行われた調査は『日本で働く外国人社員の就労環境と転職に関するアンケート』というもの。日本で働いて良かったこと、不満に感じていることなど、気になる日本での就労についてまとめました。

【調査名】『日本で働く外国人社員の就労環境と転職に関するアンケート』
【対象者】外国人留学生就職情報サイト『リュウカツ®』登録者のうち、日本で働いている(または働いたことがある)外国人社員
【調査方法】インターネット調査(日本語と英語で調査) 
【調査時期】2021年3月 
【有効回答数】129名

【回答者の属性】 日本で働いている(または働いたことがある)外国人社員
<出身地域>

※ 出身地域に含まれる国
・東アジア(中国,韓国,台湾,中国香港,モンゴル,その他)
・東南アジア(インドネシア,カンボジア,シンガポール,タイ,フィリピン,ベトナム,マレーシア,ミャンマー,その他)
・南アジア(インド,ネパール,スリランカ,バングラデシュ,パキスタン,その他)
・ヨーロッパ・ロシア(イギリス,ドイツ,フランス,スペイン,ロシア,北欧,その他)
・北アメリカ・南アメリア(アメリカ,カナダ,メキシコ,ブラジル,その他)

<性別>

<年齢>

<最終学歴>

<専攻分野>

※「その他」には、経済、商学、語学、文学などの文系専攻分野が含まれています。

<働いている(働いていた)企業の業種>

<働いている(働いていた)企業での職種>

日本での就労環境について

Q1.「日本で働いてみて、良かったことは?」 [複数選択]
日本での就労環境に関して一番メリットを感じているのは、「雇用が安定している」という点であるとわかりました。全体の約半数となり1位となっています。日本では大手企業を中心に未だ「長期雇用」が一般的であるため、外国人社員にとって魅力となっているようです。また2位では、「やりたい仕事ができて、やりがいを感じる」が全体の約3割(28.7%)となりました。外国人社員にとって、やりたい仕事に就けることは重要なポイントになっているのかもしれません。

Q2.「日本で働いてみて、不満に思ったこと・がっかりしたことは?」 [複数選択]

1位となったのは、「給与水準が高くない」という意見で、全体の3割強となりました。
Q1では「給与水準が高い」が3位となっていますが、国によっては、留学経験者に対して日本以上の高い水準の給与を支払うケースもあるため、そういった国や地域の出身者から見ると、日本の給与水準が思ったほど高くないという印象になったのかもしれません。また、「日本語ネイティブでないことへの配慮が不足」が2位となっていることから、外国人社員を受け入れる企業側の課題として、日本人社員側の意識改革や行動変容の必要性も見える結果となっています。

また、1位、2位と僅差で「求められている役割や仕事内容が明確でない」、「人事評価の基準が明確でなく、外国人だと昇給・昇進できない」が上位に入っています。
これは、日本では長期雇用を前提とした「年功賃金」や「ゼネラリスト育成」の慣行が強く残っており、コロナ禍で話題となっている「ジョブ型」や「成果主義」は実際にはそれほど導入が進んでいないことを示しています。自身の仕事内容や実績に対する明確な評価(報酬)を望む外国人社員に対しては、自社の人事評価制度を丁寧に説明するとともに、評価制度の変革も迫られているのかもしれません。

今後のキャリアプラン・転職について

Q3.日本での勤務先企業の転職経験・回数について
「転職をしたことはない」という回答が約6割となり、「転職したことがある」の約4割(1回26.4%+2回13.2%=39.6%)を約20pt上回りました。

Q4.現在、転職を考えていますか?
Q3では、約6割が「転職をしたことがない」と回答しましたが、一方で、「転職を考えている」外国人社員は半数超という結果になりました。

Q5.転職を考えている理由は?(Q4で「転職を考えている」と回答した方のみ) [複数選択]
「転職を考えている」と回答した人に理由を聞いたところ、6割超が「より成長できる環境を求めて」と答えており、外国人社員の上昇志向の強さがうかがえる結果となっています。外国人社員の定着を図るためには企業側が「この会社でどのような成長ができるか、どのようなスキルが身に付くか」というキャリアパスを明示できるかどうかがカギとなりそうです。また、「給与を上げるため」や、「グローバルな仕事に就くため」も約半数に上っています。

Q6.転職の際に、企業選びで重視する点は?(Q4で「転職を考えている」と回答した方のみ) [複数選択]
「転職を考えている」と回答した人に、企業選びで重視する点を聞いたところ、1位「給与水準が高い」、2位「職場環境や社風に合う」、3位「グローバルに仕事ができる」という順になりました。外国人社員の場合は、転職先を決定する際、職場環境・社風や仕事内容よりも「給与水準」を重視する傾向が明確に表れる結果となりました。

Q7.今後、日本でどのくらい働きたいですか?
「できるだけ長く」が4割超となったものの、「10年以上」という回答が5.4%と少ないことから、明確に期間を決めず、日本での雇用条件や状況に応じて「できるだけ長く」と考えていることが推測できます。外国人社員の場合、日本で勤務後、勤務先企業の母国にある拠点や、帰国して日本企業の現地法人に入社するなど、日本で勤務した経験を母国で活かしたいと考える人もいるため、自分にとって最適な時期まで日本にいると考えているのかもしれません。

アンケート結果まとめ

日本で働いてみて、不満に思ったこと・がっかりしたことの上位にある「給与水準が高くない」(31.8%)、「求められている役割や仕事内容が明確でない」(28.7%)、「人事評価の基準が明確でなく、外国人だと昇給・昇進できない」(28.7%)は、日本の長期雇用を前提とした「年功賃金」や「ゼネラリスト育成」の慣行が影響しているようです。
また、そもそも外国人が管理職になれるかという不安もあり、近年の傾向として、外国人留学生が新卒で日系の大手企業に入ったものの、物足りなさや昇給・昇進の遅さを感じて外資大手やベンチャーに転職する動きがあるようです。